SUPACOMの機材日記

撮影機材、録音機材の保守・管理など

Auto Nikkor 28mm f3.5

Auto Nikkor 28mm f3.5について

 

 発売時、世界で最も高精細な28mmだっただろう。

全ての絞り値において中央の解像度は目を見張るものがあり、歪曲が非常に少なく、1段でも絞ろうものならグロデスクなまでに鮮明な絵を結像する。

 

最短撮影距離:60cm

 一眼レフ用の広角レンズとしては他に類を見ない程に寄れない。広角レンズが被写体に寄れない事は致命的な欠点と思われるだろうが、この時代の技術の粋を尽くし完璧な画質を追求した結果である。

 

 寄れるが解像度の劣るレンズを設計するか、寄れない代わりに最高水準の画質を誇るレンズを設計するか、重大な決断に迫られた設計士が取った苦渋の選択が、このレンズである。

 

 どんなモノにでも生み出される過程で重大な欠点が発見されたり、ひと悶着あったりするものだが、様々な摺り合わせや、妥協などにより"無難な"製品となって世に出るため、顧客がそれを知る由もないのが通常である。

 

 このレンズは、そういった部分が他と違い、人間らしい。

 

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Auto Nikkor 28mm f3.5 @f5.6

 

 こういったエピソードが、撮影に向き合う姿勢の変化に繋がるのである。

故に、著者の生涯の伴侶とし、如何なる時も肌身離さずに持っている。

 

 



ニコンD5を購入

D800からD5に乗り換えたので、簡単なレビューを書く。

 

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 クリアなファインダー

家電量販店にて、下記2機種のファインダー明るさ比較をしてみた。

 

D610+Sigma Art 24-70/2.8 DG HSM(展示品)

D5+24-85/3.5-4.5G VR(私物)

 

D610(f2.8) vs D5(f4.5)

解放絞り値の異なるレンズを装着しているのにも関わらず、両機のファインダーの明るさは同等。

D5はD610比で約1.5絞り分ファインダー像が明るい。カメラの原理を無視したようなバカげた話であるが、ニコンD5に常識は通用しないのである。

 

ワンタッチで設定できるホワイトバランス

 D4時代から存在していたスポット・ホワイトバランスだが、D5/D500はさらなる進化を遂げ、最新のタッチパネルと相まって究極の操作性を手に入れた。撮影者は、画角に基準となる白を入れ、それをタップするだけで正確なホワイトバランスが得られる。

タッチパネルの可能性は無限大である。(もう二度と非タッチパネル機に戻れない。)

 

MODEボタンとISO感度ボタンの位置変更

ISO感度設定ボタンが、右手人差し指で操作可能な一等地に移動した点は見逃せない。従来はシャッターボタン直下にはMODEボタンがあったが、90%近くの撮影をマニュアル露出で行っている(測光モードを使いこなせない)著者にとっては邪魔な存在でしかなかった。

 

高感度性能

拡張最高感度ISO320万という途方もない数字が一人歩きしている印象があるが、闇夜で解像度と色再現性が許容できる限界の感度はISO51200程度である。被写体がライトアップされていれば、ISO10万程度まで許容できるだろう。

 

質感の低下

D3/D300比で、板金が明らかに薄くなり、ダイヤルがプラスチックになった点が残念で仕方がない。(板金の厚みについてはメーカーで公表している訳ではないので要検証。)

 

縦位置撮影時にISO感度変更がスムーズに行えない

ISO感度設定ボタンとMODEボタンが入れ替わった影響で、縦位置撮影の際にISO感度を設定しにくいため、一度横位置に戻してから感度を入力し、縦に構え直して撮影を続行するというスタイルになる。

トリミング耐性

2000万画素程度のセンサーのため、D800系のような大胆なトリミングは不可能。撮影時に画角いっぱいに被写体をとらえる必要があるため、より望遠のレンズを使うか、より被写体に近づく必要がある。著者の撮影スタイルは特殊なため、これは死活問題である。

 

耐久性

600mm単焦点レンズを装着した状態で1.5mの高さから落下したが、レンズマウントに歪みが生じ、シャッターを切る際の反響音が目立つようになっただけで、本体は問題なく機能している。驚異的な強度である。

 

【ELECOM EHP-CHR192】実売1000円台のUSB DAC

あまりにも安かったので、 興味本位でELECOM EHP-CHR192を購入した。

本稿にてファースト・インプレッションを綴る。

当方、音響機器の専門家ではないため、話半分程度で読んでいただけたら幸いである。

 

外観

CNC全切削のボディ。これが意匠というものか、無駄なく美しいデザイン。材質はアルミ合金と思われる。子気味の良い操作ボタンのクリック感が癖になる。

USBケーブルが基板直付タイプのため、断線した場合はメーカー修理か自前修理しか選択肢がない。

背面は可動式のクリップ(ステンレス製)が全体を占めいているが、個人的には無い方が良いと感じたため、近日中に取り払う予定である。

 

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音質

手持ちのスマートフォンに接続し、ハイレゾ音源を再生した。

常用しているオーディオインターフェイス(UR12)と聞き分けられなかったが、ポータブル環境としては上々だと感じた。当方の使用環境では巷で云われているようなホワイトノイズは確認できなかった。USBバスパワーにも関わらずモニターヘッドホンを問題なく駆動できることに驚いた。

 

拡張性

インターネット上にCreater Updateを適用させたWindows10にてネイティブ接続が可能との情報があった。

近日中に変換アダプタを購入し、真偽のほどを明らかにしたい。

 

総評

製品の減価償却が終わりディスコン一歩手前なのだろうか、定価から90%OFF程度で入手できる。設計や製造にかかる費用を考えても、常識的に考えてあり得ない値段で出回っていたので衝動買いしてしまったが、質感、音質ともに一級品だと感じた。

今のうちに購入して、端子をコネクタ式に改造するなど、好きな仕様に弄り倒すのも良いだろう。

マウス・キーボードの無線化で新たな世界へ

 唐突だが、かつて著者はパソコンゲーム愛好家であった。当然のように有線接続の大型マウスやゲーム仕様の青軸キーボードなどを愛用していたが、ゲームに費やす時間も気力も無くなったので思い切ってマウス・キーボードを無線にした。

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 無線キーボードについて調査したところ、ロジクールMK240Nが最適と判断した。選択理由として以下の3点が挙げられる。

 

  1.  耐水性(公称:60ml浸水試験に合格)
  2. テンキーレスで小型
  3. 1つのUSBポートでマウス・キーボードが使用できる

 

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 購入にあたり、価格は重視していなかったが、非常に安価で入手できた。

 

 基本的には有線キーボードと変わらないレスポンスであるが、電波強度により応答速度にムラが生じる場合もある。ブラウジングなどの文字入力程度であれば問題も無いだろう。ただし、マウスの入力遅延・誤作動はファイル削除や設定の変更など重大なトラブルの元となり得るので運用には注意が必要である。

 

 余談ではあるが、黒と水色のツートーンカラーは飽きが来ない。

ハードディスクについて

LCDの前の諸君、ごきげんよう

 

 著者は最近寝付きが悪い。というのも、コンピュータのハードディスク・ドライブによる騒音が原因である。

 安物のHDDを馬鹿にして、Western Digital社 「Re 」などというMTBFの高さが売りの製品を購入したのが運の尽きだった(読み書きが高速なのは有り難いが、兎に角動作音がヤカマシイのである)。。。

 

前置きはさておき、今日は巷に蔓延るアヤシイHDDデータ復旧業者の実態について書いていきたい。

 

1.無駄に高い

2.復旧可能なHDDをキズモノにされて泣き寝入り

3.本当は簡単に修理できるが、実際にかかる工数を隠し高額見積もりを出すケース

 

共通するのは、どれも目当てはカネだ。

 

1.無駄に高い

狭い界隈だからまかり通る、勝手な相場を提示するパターンである。100%の確率で、技術を持たない業者による詐欺だ。悪徳業者が修理業者に顧客HDD復旧を依頼し、数十万円のマージンを取って顧客に返却する手法だ。これは古典的な手法だが最近はあまり耳にしない。

 

2.復旧可能なHDDをキズモノにされて泣き寝入り

復旧可能なHDDからデータを抜き取り、復旧不可なレベルにディスクを破壊、後に法外な金額を吹っかける。その後顧客はどの業者にあたっても修理を断られ続け、悪徳業者の元に戻る。その後は言うまでもなかろう。

 

3.本当は簡単に修理できるが、実際にかかる工数を隠し高額見積もりを出すケース

HDD故障要因は、ディスクの故障だけではない。基板故障はスワップ(同一型番製品の基板に交換)で復旧可能だ。小学生にもできる。

しかし悪徳業者は「プラッタが故障していた」とフザけた事を平然と抜かし、高額の工賃を請求する。。。

 

欲にまみれた汚い連中め、クラウド社会の波に飲まれて野たれ死んでしまえ(データのバックアップは2~3年に一度は実施しましょう)!!!

 

Sigma 35mm f1.4 DG "Art" Prime lens

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*1

 

開放絞り1.4級のレンズには、収差が多いため開放では使い物にならないものが多数ある。特に、著者が愛用している開放1.4のオールドレンズに関しては、例外なくf2~f2.8あたりからが実用域である。

「使えるf1.4」のレンズを欲していた時期に、AF-S Nikkor 35mm f1.4、Carl Zeiss 35mm f1.4 ZF.2を前に散々迷い、結果的にSigma 35mm DGを選択した。

日常的に使っている28mmと50mmの中間の焦点距離でオールマイティに使えると判断し、35mmを選択したが、標準とも広角ともいえない画角は使い道が限定されているように感じられ、使いどころが難しい。

 

f1.4での描写

 

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周辺の光量落ちは顕著であるが、ソフトでの補正は容易である。上の2枚はレンズの素性を明確にするため(ほとんど著者の趣味であるが・・・)歪曲・周辺光量補正なしで現像している。

 

f4での描写

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ここまで絞り込めば、ほぼ全域カッチリと写る。数十年前のAi Nikkor 50mm f1.4においても、f4まで絞れば非常にシャープな描写ではあるが、本レンズはより精細でコントラストが高い描写となっている。

 

*1:Sigma公式

超・個人的カメラの買い方(ニコン編)

現在、ニコンには2機のフラッグシップ機が存在する。D5とD500であるが、ニコンによると、それらはそれぞれDXフォーマット(APS-C)、FXフォーマット(フルサイズセンサ)のフラッグシップ機であるという。それぞれの利点はあるが、どちらがより長く使っていけるか考察したい。

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*1

 

個人的に、ただ撮影する道具として見れば圧倒的にD500がお買い得だと思う。

 

同じ予算で考えるとD5が1機に対してD500は3機購入できるため、D500の方が結果的に長く使えるのではなかろうか。また、長期的に考えるとバッテリーの製造が打ち切りになりカメラが使えなくなるリスクも見えてくるが、D500の別売りバッテリーグリップはエネループの使用が可能であり、パワーソースの確保は半永久的に行える。

高感度性能や連写速度などのスペック面の他に、堅牢性やシャッターフィーリング(タイムラグ)、ファインダーの大きさなどD500には逆立ちしてもD5に及ばない部分が多々ある。それらの欠点を踏まえた上で納得できるのなら、同予算であればD500の方が長く使っていけると確信する。

*1:Nikon USAより