個人的高コスパ録音環境
当方はサウンドエンジニアでもなければオーディオマニアでもない素人であるが、音撮りをする機会が多いため最低限の機材を所有している。
タイトルにあるコスパという言葉であるが、個人的に「最小限の費用で最大限の効果を、より長い期間得られる」ことだと解釈しているので、単純に値段が安いものを選択することはまずない。
モニタースピーカー YAMAHA MSP-5
だいたい全部の音が鳴っているように感じる。ユニットごとにアンプが内蔵されているため場所をとらない利点がある。最近は音楽鑑賞もこれで行うようになった。
ヘッドホン audio-technica PRO5-MK2
8年ほど前に購入。CD屋の視聴機によく差さっているやつ。若干こもっているような気はするが、最低限必要な音は拾えておりこれといって不満はない。もうディスコンらしい。
コンデンサマイク RODE NT2-A
楽器やボーカル、ナレーションなどの録音に使っている。録音環境に依存するが、ダイナミックマイクよりも繊細な音を拾い上げる。
オーディオインターフェイス Steinberg UR12
スタジオに持ち込む際には、小さい方が良いと判断して選んだ。外部電源が不要ながら24-bit/192kHz 対応で、サイズからは考えられないような品質を誇る。
個人作大型ビデオスライダー
比較的安価で入手できるビデオスライダーは、60cmくらいまでと全長が短い傾向にあるが、より長いスライダーが必要な撮影があったので、工作が趣味の友人に制作を依頼した一品である。とにかく可動部の精度を重視し、特注であったり高価な部材を用いることとなった。
撮影してみると案外とブレ幅が大きく、手振れ補正の使用や焦点距離の設定などに制限が出たが、24-70 f2.8クラスの手振れ補正付きズームレンズを用いることで症状を緩和でき、スムーズな動画を撮影できた。
これからも積極的に使っていきたい撮影機材のひとつである。
雲台について考える
手持ちの雲台について、色々と思うところがある。
Manfrotto 498
一脚と共に購入。クイックシューを使わず、本体をカメラに固定するタイプのため、取り付けに時間がかかる反面、シンプルな構造のため部品の紛失や故障のリスクを低減できる。MIDIボールでのトルク調整には限界があり、特に重量級の機材をマウントする際は、ボールヘッドが遊ばないように完全固定すべきである。
GITZO G2380
動画撮影の機会が増えたので、なるべく信頼性の高そうなものを購入した。600mmの単焦点レンズをマウントしてもビクともしない剛性を有するが雲台単体で安物の三脚並みの重量があるため、普及価格帯の三脚やビデオスライダーに載せることはおすすめできない。
どちらの雲台も、カメラあるいはレンズの装着に手間がかかる。
趣味にせよ仕事にせよ、スタジオワークは常に時間との勝負であるため、カメラの付け外しや縦横変更にかける時間は最小限に抑えたい。そうなると、カメラごとあるいはレンズごとに統一された規格のクイックシューを装着すると作業効率が上がる。
超望遠レンズ用超々ジュラルミン製グリップ+マグプルXTMハンドストップ(AFG-3)
以前より使っているAi Nikkor 600mmの描写特性には大変満足しているが、手振れ補正機能が無いマニュアルフォーカスレンズであるが故の使い難さを感じていた。三脚が無いと使えないのでは仕方がないので、金属加工が得意なフレンズ友人に特製グリップを制作依頼した。
10mm厚の超々ジュラルミン(A7075)から全切削されたボディは頑丈そのもの、まるで銃器のような威圧感を放つ。
銃器に適合した20mm汎用レイルが装着されており、ライフルのグリップが装着可能。
バーティカル・グリップを装着したところマニュアルフォーカスが困難であったため、マグプル社XTMハンドストップを装着した。
各種雲台用のネジが切ってあり、グリップを外さずとも三脚にマウントできるが、10mm厚の超々ジュラルミンにタップを切るのには骨が折れたと製作者は語る。
高度経済成長期の工業製品と近未来的な造形とが調和し、実用性と共に芸術性も高まった。
モントリオールオリンピックでその名を轟かせたレンズであるが、2020年の東京オリンピックでも頑張ってもらいたい。
H・C AUTO NIKKOR 28mm f3.5
1960年発売のAUTO NIKKOR 28mm f3.5のマルチコーティングを施した改良型であり、光学系については設計から既に60年近く経過している。
ウルトラ・マイクロニッコールなどで知られる名設計士が手掛けたレンズとのことで、『ニッコール千夜一夜物語』においても、ニコンの礎を築いた重要なレンズとして取り上げられている。
クラシック・レンズの部類に属される本製品であるが、手持ちのAF NIKKOR 28mm f2.8とは非にならないほどの逆光耐性と解像度を誇り、絞り開放から実用的である。
最短撮影距離60センチメートルと、広角レンズの存在意義の一つである「寄って撮る」事は不可能。
余談であるが、本製品に関して言えばカニ爪を外すことでAiレバーに干渉しなくなるため、Ai加工せずともデジタルカメラに装着可能であるが露出計は動作しない。
Ai NIKKOR 50mm f1.4s
所有する数々のニッコールの中でも、知人から譲り受けたこともあり、特に愛着がある一本である。
2015年に、修理業者によるオーバーホールを受けたものの、長年の摩耗により鏡筒にガタがきているが、マニュアルフォーカスの操作感は病み付きになる程。ニッコールの堅牢性に恐れ入る。
ニッコール50ミリの歴史は長く、現在に至るまでその設計思想は継承されている。
現在のコーティングとは色合いが異なり、若干であるがコントラストが低い。
巷ではオールドレンズとして扱われることもあるが、商品撮影などの精細な描写が問われる分野においても一線級の実力を持つレンズである。
撮影後のRAWデータを見ると、絞った状態に関しては現行の単焦点レンズと見分けがつかないほどの描写に驚かされる。
Ai NIKKOR 600mm f5.6s ED IF≪OLD≫
以前から、超望遠レンズでポートレートを撮りたいと常々考えていた。しかしながら、比較的安価で購入できるズームレンズを家電量販店で確認したところ、その背景ボケに満足できなかった。
現行世代の単焦点ともなれば、自動車並みの費用を覚悟しなければならないが、それならその都度レンタルした方が安くつくだろう。
そこで、マニュアルフォーカスの単焦点レンズが候補に挙がった。
三脚座にスイベルリングがくくりつけられているが、これは「カメラを軸に持ち上げたらどうなっても知らないぞ」というニコンからの強いメッセージであろう。
後継のNEWタイプとの相違点は、前玉プロテクターの有無、レンズフードの装着方法、銘板の有無、筐体の形状などであり、カタログ上ではレンズ構成の変更はないが、ガラスの互換性が無い可能性も否定できない。
フードを格納した状態で、Ai 300mm f4.5と全長を比較する。
言うまでもなく長い。
広角、中望遠レンズと比較する。
言うまでもなくデカい。
何かと不便なレンズではあるが、その描写特性はまだまだ一線級である。
以下、簡単な実写テストを行う。
先ずは逆光耐性。
開放付近で画面端に太陽を入れたものの、しっかりと描写している。また、開放で撮影してもパープルフリンジは見られなかった。
次に手持ち撮影を行った。開放絞り値5.6と、少し心許ない印象を持っていたが、超望遠ゆえの浅い被写界深度により、ピント精度は安定していた。